2018.11.06 (Tue) interview

参議院議員、藤巻健史氏が語る「仮想通貨を取り巻く問題点とその将来性」[インタビュー 2/3]

Written by 真田雅幸

前回は藤巻健史氏に、仮想通貨に対する税制や規制に関する話を聞かせてもらった。今回は仮想通貨市場についての見解を伺った。またメールやSNSなどのコミュニティケーションツールが市場に与える影響などについても聞くことができた。

仮想通貨市場は、デリバティブ登場初期に似ている

――仮想通貨には主に若者が興味を示していると思うのですが、将来性と何か関係はあるのでしょうか?

藤巻:僕と同じ昭和25年生まれの人たちが集まる会で「仮想通貨いいよ」って言ったことがあるんだけど、25人中23人は否定的な反応をするよね。やっぱり保守的だし、まずわからない部分があることが一番大きな壁になっているんだろうね。

やっぱり新しい物であったり、ITの分野にすんなり入って行ける人間ってのは若者だから、今のところそういう人たちが中心になってるよね。だから伸びしろがすごくあると思うし、逆にこれからお金を持っている高齢者が参入してくれば、さらに伸びるよね。

もう1つ言うと、今の仮想通貨って金融市場にデリバティブ取引が登場した当時に似ているんだよね。デリバティブが出てきた当時はきわもの的に扱われていて。さらに日本では、長短分離などの金融規制によって法律的に取引に制限がかけられていたんだよ。

ところが、僕が勤めていたJPモルガンがいち早くデリバティブに目を付けたんだよ。そして僕自身もデリバティブの世界に入って行ったんだ。90年代の中ほどのことね。

90年くらいには存在しなかったビジネスが、その後の収益の4割くらいを稼ぐようになったんですよ。JPモルガンはデリバティブに関していち早く足突っ込んでいった。僕もデリバティブはアグレッシブに取引させてもらった人間なんだけど。そのお陰でモルガンで僕は業績が良かったんですよ。取引がほとんどデリバティブだったんで。

その当時、デリバティブ取引を行っている人は奇人、変人扱いだったんですよ。奇人、変人の投資家が始め、奇人、変人の弁護士が色々法律に興味持ちだしたんだけど、ごく一部の人しかやってなかったね。

これちょっと面白いんじゃないかって思った人たちが始めて、大成功したわけです。それが今となっては、デリバティブがなかったら金融業界も成り立たちませんからね。そこまで大きく成長したんですよ。今の仮想通貨ってそれと同じようなステージにあるのかなって思ってるんです。

あと、仮想通貨は資産の逃避先として使える。ハイパーインフレなどの危機に備えて、僕はドルや仮想通貨を買えって言ってるんですよ。日本も過去には預金封鎖や通貨の新券発行をやってるわけ。

例えば日本国内の企業を使って、ドル預金とか、ドルのMMFを買ってても預金封鎖などをされるとどうしようもない。本当は物理的にドルを海外に回さなくちゃいけないんだけど、それって普通の人には難しいよね。

僕みたいに外資に勤めてた人とか、金融知識がある人だったら、海外に口座を持つことはそんなに難しくはないけど。まだ先だとは思うけど、本当にハイパーインフレが来て預金封鎖とか新券発行をされると普通の人が取れる方法っていうのは、仮想通貨の保有しかないんだよね。

そういうことも考えると、仮想通貨に手を出しておかなきゃいけないよね。キプロス危機の時とかは、キプロスをタックスヘブンにしていたロシア人やキプロス人が仮想通貨を買って逃げてたんだし。

中国でも国外に送金する手段として一時盛り上がったわけです。ペッグ制の通貨であるため、彼らは勝手に外貨取引ができないから、仮想通貨で海外の家族に送金したりしてるわけ。

物理的にお金を国内外でやり取りできる手段で、普通の人ができるのは仮想通貨だろうと思うわけ。だからそういう面でも、仮想通貨はぐっと伸びるという気はしてるんです。

仮想通貨市場には先物市場が必要

――最近では仮想通貨取引所は金融庁の管轄下におかれるようになっていますが、仮想通貨市場にはどのようなルールが必要なのでしょうか?

藤巻:これは難しいんだけど、規制がないとこんちくしょうみたいなのが多発して、業界がダメになることがある。IT業界全体に言えるけど、ある程度の顧客保護は必要だし、最低限の規制は必要だろうと思う。

あと、規制とちょっと違うかもしれないけど、先物市場を早く作らなきゃいけないよね。先物市場がないと、僕なんかや機関投資家、大口投資家はリスクヘッジできる手段がないから怖くて入れないよ。価格が下がってる時に指をくわえて見てるしかないのは最悪の事態だからね。早く先物取引所みたいなものを、きちんと公的なところが認めるというのは必要かなと思います。

――今の下落相場で現物しか持てないと確かに防御手段がなくて困りますよね。

藤巻:先物市場ができてトランザクションのボリュームが増えていくことも非常に重要で、大手の金融機関が入ってこられるような基盤をきちん作ることは必要だと思う。

仮想通貨は長期の保有目的

――藤巻議員は2000年までトレーダーとして仕事をされてきました。仮想通貨を購入しているとおっしゃいましたが、それはトレード目的ですか?それとも投資目的ですか?

藤巻:長期投資ですね。少しずつ残高を増やしていってます。基本的に儲けるというより、生き延びるためのXデーの防衛手段として。価格も伸びるとは思うけど、まずは目の前にあるのはそっち。

――トレーダーや投資家に、必要な資質とか何かあったりしますか。

藤巻:仮想通貨のトレーディングって難しいと思うんだよね。僕は長期投資しかしないんだけど、それ以上にチャートとかテクニカルでトレードするのが好きじゃない。ファンダメンタルズ重視なんだよね。

例えば、日本経済が強いと思うと日本株が上がり、円が上がり、それから国債価格は下がる(長期金利は上がる)。景気が悪いとその逆。それが基盤なわけ。日本経済がこうなると株がこうなり、債権がこうなり、為替はこうなる。こういう実体経済とビットコインはリンクしていないんですよ。

仮想通貨の何がファンダメンタルズかっていうとわかんないんだよね。チャートでトレードする人はいいかもしれないけど、僕はチャート嫌いだからさ。危機が来ると絶対買いなんだけど、それは長期的な話であって。他に何がファンダメンタルズになるのかっていうと、ちょっとわかりにくいんで、僕にはトレードはできないだろうなと思ってます。

――技術的な部分がファンダメンタルズになったりしますよね。

藤巻:そういうことがわかってる人はいいかもしれないけど、僕は典型的な文系人間だからその辺がよくわかんない。

SNSには相場を動かす力がある

――藤巻議員はTwitterなどのSNSを使って発言されていて、いつも拝見させていただいています。藤巻議員はSNSをどのようなコミュニケーションツールだと考えていますか?

藤巻:僕は出遅れたんだよね、かなり。Twitterは、ほとんどやってなかった。その前のブログでは、大先駆者だったと思うけど。僕がモルガンの支店長だった時、支店長っていってもトレーダーなんだけど。短期トレーディングは基本的にしなかったんだ。アドレナリンを出すためにちょっとやったりもしたけど、金を儲けるのは長期ポジションであって、1年に1回とか、半年に1回くらいしか大きく動かさない。

そのため時間があるので、僕の市場に対するコメントを書いてファックスで送るわけ。

負けるとトレーダーって悔しいんですよ。負けたけど俺が正しんだってことを書きたいわけですよね。そういう理由で今のブログみたいなのをずーっとファックスで書いてて、金融界に流してたわけ。それは金融界ではめちゃくちゃ有名になってたんだけど。

あとは帰国子女の連中が英語に翻訳して、同様に海外にも流してたわけ。その頃Eメールっていうのは日本ではアメリカに比べて数年遅れてた。そのアメリカの中でも一番進んでたのがJPモルガン。

僕が何故Eメールを使ったかというと、普段だと毎日ニューヨークの社長とか会長や本部長から電話がかかってくるんだけど、英語が下手だったし喋るのが苦手だったから、Eメールを使ってたわけ。発明は成功の母っていって、英語喋りたくないがゆえに日中に日本語書いて部下に英語に訳してもらって、世界に発信してたわけ。

僕が一種のブログを書いていた当時、日本はまだファックスの時代だったから、金融界で有名になったのはそのせいなの。

僕が東京で儲けているという話はNYでも有名だったから、JPモルガンのセールスマンを通して、海外の投資家が僕の意見を聞きたがるようになったんだ。また投資家がうわーとEメールをものすごい拡散してて、マーケットを完璧に操作できるところまでいったんですよ。

あるアメリカの弁護士からはお前がやってるのは合法的相場操縦だと。他人がある人の意見を尊重して同じ行動をとっても非合法の相場操縦にはならないけど、例えば、東芝の株を買い占めて値を動かすとなると、相場操縦になる。

SNSの原点であるブログなどの発信は、相場でさえ動かすことができる力があることを認識したんです。

まずかったのはブログに集中し過ぎちゃったことかな。楽しかったから。ブログに集中し過ぎちゃってTwitterとかFBとかにはちょっと出遅れたってのはありました。

――そうなんですか。

藤巻:重要性を知っていながら完全に遅れたっていう感じです。

――仮想通貨市場では本当にそれが当てはまって、特にtwitterなんかは市場への影響が大きいですね。仮想通貨市場って規模自体が小さいので、SNSからの情報で価格が大きく上下しますね。インターネットを通じたコミュニケーションツールが発展したため、そこから発信される情報は多くの人に届くので無視できない存在になっていますね。

藤巻:仮想通貨については、単に自分がいいと思うものを皆に伝えているだけなんだ。少しでも仮想通貨に対する興味を皆が持ってくれればと思って。

今度、仮想通貨税制を変える会ってのをTwitter内かブログ内に作ろうと思ってるんだ。だからみんながこれだけやってるんだっていうことを国会で伝えようと思ってる。何人の賛同者が集まったかっていう数字で大臣や国税当局を攻めようかと思ってる。それをやって、税制を変えるきっかけを作りたいなと思っています。

――ぜひお願いします。日本で税金、規制なりって縛っても海外にすぐアクセスできてしまうのが現状で。例えば中国でも禁止になりましたけど中国人は海外でトレードできるわけですよね。

藤巻:そうそう。

――規制を厳しくしても効果は薄いんですよね。なのでその辺り税制なり、規制なりを技術に合わせるといいますか。

藤巻:海外の取引所をわざわざ使う必要ないんだからね。きちんとした税制になってれば。

――そうなれば今海外の取引所を使ってる日本人も日本の取引所を使うと思います。


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