2018.08.13 (Mon) news

ロシア年金基金のブロックチェーン移行で年金受給年齢の引き上げは防げる

7月19日ロシア連邦議会下院は、年金受給年齢を引き上げる法案を最初の審議で採択した。 2017-2018年の連邦予算の主要方針によれば、今や国家予算の4分の1が年金支出に費やされている。年金受給年齢の引き上げは、人口統計的な課題を解消する一つの方法である。

しかし専門家は別の解消方法があることを指摘する。それは包括的な年金改革であり、これには年齢により年金を決める原則と障害年金・遺族補助関連費用の構造の変更、そして年金基金自体の最適化が含まれる。

さらにロシア連邦政府付属金融大学の経済活動法的規制部門の上級講師であり法学副博士のヴェネラ・シャイドゥーリナ女史は、分散型台帳技術がこの改革に対して貢献できるということについて話している。

ロシアの年金基金における最適化の必要性

ロシアの年金基金の従業員数は世界で最も多く、およそ12万1千人にのぼる。つまり定年退職者100万人あたり1,925人のスタッフが基金で働いていることになる。これに次ぐのはアメリカの社会保障年金制度(6万人の従業員)である。アメリカの人口はロシアの約2倍だ。日本の場合、人口はロシアのそれに近いが、日本の国民年金機構で働く従業員は2万7千人である。

ロシア公共調達事務局のウェブサイトを見てみると、2011年から2017年までの期間で730億ルーブル以上の規模にのぼる2,300件の契約を締結したことが分かる。このうちコンピュータおよびソフトウェアの購入には約40億ルーブルが費やされ、残りは印刷サービス、文房具、通信、交通、建設、リフォーム、家具、燃料、衣服や靴の購入に使われた。ちなみにこの巨額の金額には、賃金、賃金控除、税金や手数料は含まれていない。

なお、ロシアの年金基金の財政赤字は年々増加しており、2018年には1,066億ルーブルから2,568億ルーブルへ倍増する見込みである。

このような基金の大規模な人員体制は、さまざまな詐欺行為を誘発している。例えば、年金基金スタッフがその立場を利用し、いわゆる「死んだ魂」(死亡した人の名前が悪用される場合に使われる言葉)の雇用関連公式文書に虚偽の情報を入力していた。その現地支局の女性従業員に対し、2015年にカザン地方裁判所は実刑を課した。ロシアの他の都市でも同様のケースが報告されている。

年金基金の仕事の運用や管理における改善と最適化なしでは、2019年の年金改革は不可能であることは明らかである。

ブロックチェーンと年金改革

下院青年議会の経済・起業関連専門委員会の委員長であるアレクセイ・モストヴシチィコフ氏は、ロシアの年金基金の不可解な大規模体制の主な理由は、同基金における技術基盤の欠如であると指摘している。同氏によると、この技術基盤により、基金に入ってくる資金の割り当てのプロセスの自動化が可能になるという。

急がれる基金の業務の最適化、および基金の技術基盤の改善において最も予算的に適しているものの1つは、基金の業務プロセスの一部にブロックチェーン技術を導入することだ。特に同技術は、年金のスケジュール策定と支給、年金保険義務制度による保険基金の会計処理、受給者などの個人情報、子供手当(出産手当)受給のための証明書の交付と手当の支給にて適用できる。

この技術により作成されたスマートコントラクトに基づき、受給者などが入力するデータの確認が自動で行われるようになる。また、国の年金法で定められる要求事項を守らない者に対しては年金の受給スケジュールの策定や子供手当(出産手当)支給などのサービスを提供しない、ということができるようになる。

技術的な観点と同様の概念には、ブロックチェーンで実行された操作の信頼性を確認し、認証された操作の記録は変更や削除ができないようにするなどの監督者ネットワークも含むことができる。そしてこれは、受給者などの死亡など、国の法律に従いスマートコントラクトで定められた事態でのみ停止される。

ブロックチェーン導入で期待される効果

ロシアの年金基金自体の概算では、ブロックチェーン技術を含むデジタル技術の基金の活動への導入により2万4000人の人員削減(20%)が可能になるという。 基金の従業員の平均給与は約4万ルーブルなので、人員削減により約9.6億ルーブルが節約でき、辞めるスタッフの再就職支援用に使える約30億ルーブルがさらに生み出される(730億ルーブルを7年で均等に割り、20%を差し引いた場合)。

もちろん年金改革や年金受給年齢の引き上げを遅らせるには、この金額は不十分だ。しかし少なくともこれにより基金の支出増を抑えられ、年金制度最適化の他の手段とともにロシアにおける年金受給年齢を引き上げなくても済むようになる。


forklog


無料メールマガジン

BTCNの最新ニュースを毎日お昼ごろお届けします!