2018.10.31 (Wed) news

ホワイトペーパーの公開から10年、Satoshi Nakamotoはなぜビットコインを創ったのか

Written by 真田雅幸

ビットコインのホワイトペーパーは2008年10月31日に匿名のSatoshi Nakamotoによって metzdowd.comのメーリングリスト上で公開された。 「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」のタイトルでビットコインの元となるアイデアが公表され、2009年1月3日から実際にビットコインのネットワークは動き出した。

ビットコインは、ユーザーが第三者機関を介さず自由に取引ができるP2Pネットワークを使ったソフトウェアだ。ビットコインは誕生から歳月を重ねる度に多くの人に受け入れられるようになり、ネットワーク上の取引に使われるトークンであるビットコイン(BTC)の価格も上昇し続けている。

ビットコインのクリエーターであるSatoshi Nakamotoは、今も誰なのか、その性別も、団体名なのかもわかっていない。P2P Foundation上のプロフィールでは、日本に住んでいる男性で1975年4月5日生まれとなっている。一方、ホワイトペーパーが英語で書かれていることと、コミュニティメンバーとメールでのやり取りをしていた時間帯から推測すると日本人ではなかった可能性が高い。

さらにSatoshiによってマイニングされたビットコインの最初のブロック「ジェネシスブロック」には、「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」という文字が含まれており、当時イギリスに住んでいたのではと考えられている。

The Timesはイギリスの新聞で、Chancellor on brink of second bailout for banksは2009年1月3日のThe Times紙の見出しだ。

Satoshiはコミュニティメンバーと共にビットコインの初期の開発に携わっていたが、2010年に突如として姿を消しており、その後の詳細を誰も知らない。

Satoshiはなぜビットコインを作ったのか

Satoshiがどのような人物であったのかはわからない。しかしその活動からどのような思想を持っていたのかを読み取ることができる。Satoshiは暗号界隈のオンラインコミュニティに属しており、非中央集権や個人のプライバシーを重視する人物だったと推測される。また、明らかに既存の金融システムは不安定であると考えていた。

ホワイトペーパーの最初の一文は「A purely peer-to-peer version of electronic cash would allow online payments to be sent directly from one party to another without going through a
financial institution」と書かれている。要約すると、「P2Pの電子マネーは金融機関を通さずオンライン取引を行うことができる」だ。

さらにジェネシスブロックに記録されている「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」は、紙面のタイトルを使うことでブロックが実際に2009年1月3日にマイニングされたことを証明すると同時に、中央銀行を中心とする部分準備銀行制度を皮肉っている。

Chancellorはイギリスの財務大臣の名前で、この文を翻訳すると「財務大臣の2度目の銀行救済が間近」となる。部分準備銀行制度とは、銀行が民間から預かったお金の一部を中央銀行に預け、余った資金を貸出に使うことができるシステムを指す。

この部分準備制度下では、銀行は預かった資金以上に貸出業務を行うことができるため債務危機を起こしやすい。また民間が同時に資金を引き出そうとすれば銀行は簡単に潰れてしまう。2008年にアメリカで起きたサブプライム問題は、経済環境にそぐわない低い政策金利を中央銀行が設定していたため、銀行は返済能力が低い人にも多額の融資を行い不動産バブルが発生した。

不動産バブルが弾けると大量の借金の返済が滞り金融機関の倒産が相次ぎ、サブプライム問題は世界的な金融危機を引き起こし大恐慌にまで発展している。アメリカの主要株価指数であるダウ平均株価は2007年から2009年の間に50%以上も下落している。

2008年のダウ平均株価 週足チャート

Satoshiは、世界恐慌の最中にビットコインをスタートさせている。これは単なる偶然ではなく、既存の金融システムが脆弱であることを理解した上で、全く異なる取引ツールが必要であるとSatoshiが考えたからだろう。

Satoshiがコミュニティから姿を消した理由は未だに不明だ。しかしそのおかげで開発は個人ではなくコミュニティに委ねられ、よりオープンでフェアな開発環境になった。初期の開発時期に自身で大量のビットコインをマイニングしているため、コミュニティに残ればビットコインが平等なお金として成り立たないと考えたのかもしれない。

Satoshiのものと考えられているビットコインアドレスには、今でも約100万BTCが眠っている。時価にすると約7100億円だ。Satoshiの偉業は2つあり、ビットコインを創ったことと匿名のまま姿を消したことだ。ビットコインは誕生から10年たった今でも、プロトコルの開発やセカンドレイヤーの構築によるユーザービリティの向上が見込まれ、コミュニティと経済圏は広がり続けている。


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