2018.10.29 (Mon) market

仮想通貨市場の価格-流通量に基づくHerfindahl-Hirschman指数等の諸分析(Oct 28, 2018版)

Written by mineCC

穏やかな秋の訪れと共に仮想通貨市場のボラティリティも穏やかな今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。Twitterのタイムラインからも人が減っている様子がうかがえ、皆様さぞ健全な日々を過ごされている事と思います。先月の本連載執筆時は下落基調の中でしたが、今月に入ってからは横ばい続き。市場全体の動きはおよそお察しの通りです。
(データは日本時間10/25取得)

10月下旬の仮想通貨市況と寡占度(Herfindahl-Hirschman指数)

まず時価総額和とHerfindahl-Hirschman指数(HHI)を図1に示します。復習になりますが、HHIは「各企業の市場占有率の2乗を加算して算出する」もので、本連載では時価総額$10k以上のトークンを含む仮想通貨(暗号資産?)全体を対象とした値を示します。数値軸にはダイナミックな変化を捉えるのに適した対数軸を採用している点、ご注意下さい。


図1:2016年6月1日以降の仮想通貨市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)

前回9月中旬には上段に示す時価総額和は下落基調にあり、2000億ドル前後で推移していると述べましたが、その後一月以上この水準を維持しています。昨年11月頃、2017年末に見られた市場全体のpump初動に相当するところで、いわゆるTether疑惑によるpumpが事実だとすれば、この辺りの水準に戻ったのは大変興味深いところ。このヨコヨコ相場は前回2013年に見られたBTCの大型pump後にも発生しました(図2)。この時は2014年を通して下げ、2015年1月からおよそ9ヶ月間に渡って横ばいを続けました。前回と同じメカニズムで横ばいになっているのであれば、次は同様に上昇して欲しいところですね。


図2:BTC/USDのレート推移(Bitstamp)

次に図1下段、HHIの動きを見ましょう。先月には一時3400辺りにまで増加したものの、結局は下に戻して3000近辺で推移しています。2017年夏頃にも2500-3000で推移しており、2017年末にも3000ラインに触れていることから、この「3000」がメジャーもしくはマイナー通貨に偏らないバランスの取れた均衡点なのかもしれません。この均衡については、別に機会を設けて検討してみたいですね。


図3:時価総額和とHHIの関係

前回記事で時価総額和とHHIの関係を図3のように示しました。今回もデータを追加して載せていますが、時価総額和とHHIが横ばいだったために(HHI,時価総額和)=(3000,2x10^11)近傍に点が増えたのみとなっています。


図4:仮想通貨時価総額分布(当時$10K以上)

時価総額分布の変化はどうでしょう(図4)。縦軸は時価総額、横軸は当該通貨の順位を表しています。昨年11月(緑線)もしくは今年7月(青線)からの変化に比べて、9月(赤線)から今月(黒線)にかけての変化はほとんどありません。敢えて取り上げるなら20位以下で全体的にわずかな持ち上がりがあることでしょうか。HHIと時価総額和が横ばいですので、この差はデータを取得したタイミングで偶然現れたものと思われます。しかし、これでは面白みに欠けるので、次の図5でこの分布をcoin系とtoken系に分けてみてみましょう。


図5:Coin系とToken系に分けた時価総額分布(当時$10K以上)。データ取得日はそれぞれ実線:10/25、一点鎖線:9/18、破線:6/9

まずtoken系が全体的に持ち上がっている一方でcoin系は9月からほとんど変わっていません。従って図4で観測した20位以下での分布持ち上がりはtoken系の上げによるものと思われます。Token系トップのみ大きく下げていますが、これはUSDTです(2位はBNB)。Coin系はそもそも6月からもあまり変化がありませんね。

市場とメジャー通貨の日次リターン

「このままでは市場を眺める記事として物足りない…」
私のそんな思いから、これまでとは異なる別視点のデータを一つ提示します。

それは図6に示す時価総額トップ3通貨と市場の時価総額でみた日次リターンの関係です。ここでリターンは対数収益率で与えている点にご注意下さい(なぜ対数変換するかについての説明は他の文献に譲ります)。もし市場の動きと対USDレートが完全に連動していれば、図中のグレー破線上に点が乗ります。


図6:市場とメジャー通貨(BTC, ETH, XRP)の日次リターン。青点は2017年、赤点は2018年のデータ、色付き実線は各年の回帰直線。

まずBTCはシェアが高いこともあって市場のリターンにかなり近い分布を示しています。回帰直線の傾斜(ベータ)は1.03から0.94に低下。市場への感応度を下げていますが(市場がBTCに感応しなくなってきている?)、いずれにしてもBTCと市場の相関は他の2通貨に比べて強いものになっています。ETHの場合、分布を少し広げた状態で市場に近い動きを取っています。回帰直線の傾斜は0.88から1.02に増加。2018年に入ってからは分布がまとまってきており、前年に比べると市場との連動性が高まっています。XRPの場合、2017年は分布が大きく広がっており、市場との相関がかなり弱くなっていました。回帰直線の傾斜は0.79から1.22に増加。2017年の「我が道をゆく」分布はETH同様まとまってきているものの、まだ他の通貨らとは一線を画す独自路線を歩んでいるように見えます。

いかがでしょう?読者諸氏の思っていたような連動性でしたでしょうか?特定の通貨に対してのみならず、市場全体との連動を見れば通貨の動向に関する新たな知見が得られるかも知れません。主要通貨と市場の連動性については、今後本連載もしくは別の場で論考の機会を設けようと思います。


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